里山まんだら斑山

GW直前、4月27日は天気よいものの風が強く日。津金の里山「斑山」をガイドしました。
今回は地元津金集落から参加の方もいらっしゃり、地元民ならではのお話も伺うことができましたよ。

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斑山は山頂まで樹木に覆われ、ほとんど展望はききません。だから、あまり人気がない。でも麓の集落景観含め実は他にない魅力の詰まった面白い山です。

季節はまさに木々が芽吹き始めのころ。今回の山行では期待していたミツバツツジはかろうじて残るぐらいでしたが、単調だと思っていたルート上の松林の中に、白い花を泡立つように咲かせるアオダモが意外なほど沢山生えていることに気付かされたのは思いがけない収穫でした。

歴史資料はあまり残っていないのですが、この山には武田の時代頃からの金山があったと言われています。今回のツアーでは登山道から少し外れたところにある坑道跡を訪れてみました。もちろん案内表示などはありません。細い踏み跡をたどると山腹に突然現れる坑道入口、そこから奥へ細く長く続く坑道の先は闇の中ですが、少なくともこの場所の存在がここで活発になんらかの採掘が行われていたことを証明しています。そしてそれが今でも往時のままの姿で残ってることに大きなロマンを感じます。そのほかにも斑山の尾根伝いはむかしの道形がハッキリしている部分が多く残り路傍では馬頭観音や狼煙台跡などいくつもの石造物に出会うことができます。それらから見えてくるのはこの山に、少なくとも戦国から明治の頃にかけては山頂付近まで馬を含めた結構な人の往来があったということ。
また他にもコナラやクヌギの奇妙な株立ち、そして倒木が目立つ途中の荒れた松林、山頂にある朽ち果てたテレビの電波中継基地跡、整備されていない登山道などからは、ほんの数十年前ぐらいから、地元含め山に入る人そのものが少なくなってしまったこと。そんなことがいくつも読み取れます。昭和なかば以前であればこの山を包む樹々はほとんど無く、ここは八ヶ岳や南アルプスを展望できる好ハイキングポイントだったのかもしれません。
午後になり山を降りたあとは出発点の「三代校舎」まで、ひなびた情緒がそこかしこに残る津金集落を抜けて、集落間近の山上にある「藤岡神社」にも立ち寄りました。こちらにはとても長い石造の階段や神社裏手の大量の石碑群に目を見張る物があり、すばらしい史跡…なのですがブッツリと途切れた参道や神社裏手の皆伐地を目の当たりにすると、ちょっと前の時代と現代とのあいだに大きな「隔たり」が生まれていることにも気付かされ、考えさせられます。
いくつもの時代が重なりあう道をたどり、今では僅かしか残っていないモザイク状の風景の痕跡を読み解き、かつて広がっていたはずの様々な世界を想像しながら歩く山旅は、いつも楽しく刺激的です。

記:野村
ガイドプロフィールはこちら

★次回野村が企画しているのは5月28日。甘利山山中にひっそりと点在する椹池をはじめとした多数の池をめぐるツアー。そしてそれらを一つにつなぐ古くからの伝説…。昔の人の山への願いを読み解いてゆく山旅、現在参加者募集中です。

坑道の入り口からの眺め。ひっそりと山中に眠り続ける、忘れられた歴史の窓

 

 

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